金魚亭
京都四条通の少し奥まったあたりに、居酒屋金魚亭がある。
「ほんまにここのピザと賀茂なすと豆腐となすの揚げ出しは絶品なんやで。」 「んじゃそれと、あと、やっぱ京都と言ったら鱧やろ。鱧も頼まへん?」 「ええとこに目ぇつけたなあ、アリス。ここの鱧につける梅肉のソース、これもまた酸味が効いとって、最高なんや。」 「鱧じゃなくて、ソースがいいのか。」 「火村くん、なんで君はそうやって小憎らしいんかなあ。」
「さて、ビールは来たから乾杯だけしてまおか。」 「せやな。グラス持とか。」 「へいへい。では、我等が芸術家先生の最新作の作品展マグレ入賞を祝って。」 「ついでに、とうとううちらと同い年になった芸術家先生の生誕祭を祝って。」 「・・・・・・ものっそい親切な親友とカレシの永久不滅の友情を祈って。」
「「「乾杯。」」」
「へぇ、本当に鱧、旨いな。」 「せやろ、せやろ? あ、揚げ出し来おった。これが好きやねん。」 「好きなん? せやったら、うちらが先に・・・。」 「ああ! アリス! そんな無体なあ。うち、ほんまにこれ好きなんやで? これを楽しみにここ数日ものっそい気ぃ入れて版画描いとったのに・・・。」 「ああ、わかったから、泣くな。な?」 「揚げ出しぃ。」 「ほれ、よそったるさかい、椀寄越し?」 「・・・・・・なあ、俺、帰った方がいいか?」
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