深い

 

 

 

 

 ぼくのてはちにまみれている

 きれいだったたったいっぽんのゆびはどこかへおいてきた

 

「Stupify!」

 返事もせずには扉を蹴り開け、そこにひそんでいた男たちに攻撃を仕掛ける。

「ピーター! フルーをとれ!」

 は杖腕ではない左手でピーターを燃え盛る暖炉の中に押し込む。一瞬焼け死ぬことを恐れたが、直前にの杖が動き、全く熱は感じない。

 男が三人。の不意打ちにやられ転倒したが、うち二人は再び起き上がった。恐らく、前の男のおかげで攻撃力が緩和されたのだろう。

「その男を渡せ!」

「馬鹿者! 相互不可侵を忘れたか!!」

 はフルーパウダーを硬直したピーターに投げつける。

「ホグワーツへ行け! 早くしろ!!」

「あ、で、でも、」

「死にたくないんだろう。」

 は一瞬だけ振り向き、すぐに男二人に対峙する。

「Crucio!!」

「そ、それは、」

 禁呪を唱えた途端、男二人が床にのた打ち回る。その様を軽く見やり、は体ごと振り向いた。

「人の話を聞かない男だな。あたしがこいつらを撃退できたからいいものの。」

「ご、ごめんなさい。」

 は暖炉の前にかがみこみ、呆れた顔をしてピーターを覗き込んだ。

「まあ、いい。お前ごときにとっさの機転を期待したあたしが愚かだった。だが、ちょうどいい機会だ。この際、あたしの言う通りホグワーツ、に・・・」

 奇妙に言葉が途切れ、はピーターの腕の中に倒れこんだ。

「殺してやる。殺してやるうううぅうううう!!」

 の後ろに見えたのは、最初の呪文で昏倒したはずの男。

 

 あの銀と赤に濡れる棒は一体なんだっけ。

 ああ、アレは、短刀というものだっけ。

 

「あ、あ、あ」

「うるさいな。」

 倒れこんできたを抱きしめ、まともに言葉を離せなくなったピーターはその言葉で我に帰った。

?」

「ホグワーツへ、行け。」

「させるかあああ!!!」

 大儀そうに杖を後ろに向け、は一言呟いた。

「Avada Kedavra」

 

 

 緑色の閃光の中、ピーターは確かに「ホグワーツ。」と叫び、はそれを聞いてにこりと微笑んだ。

 後にも先にも、彼女が哂ったのではなく笑ったのは、これが最後だった。  

 

 

 

反省会
 わけわからんだろうけど。まあ、なんか、メリー的にピーターの話をジェームズたちとの出会いから五巻時点までのを考えてあるんですよね。それの一部を切り取ってきたみたいな。そんな感じかなあ。

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