幸せ家族計画
ある日、私とはいつものように北白川にある火村の下宿にお邪魔していた。三人でわいわい喋っていると、音を聞きつけたちゃんも加わった。彼女が自主的に来たのが嬉しいらしく、は妙にはしゃぎ、『王様ゲーム!!』と叫びながらそこら辺にあった紙で適当にくじを作り始めた。私と火村は諦めて参加し、王様ゲームを知らないと言ったちゃんに説明してから四人でくじを引いた。 「王様誰やっ!」 と、は叫びながら手を挙げた。 「誰や、って自分やん。」 「しゃーないやろ。これがルールなんやから。」 本場のボケとツッコミですね、とちゃんがどこかずれたことを火村に嬉しそうに言う。 彼女にとって、私たちは漫才コンビなのか・・・。 「というわけで、王様の命令〜! 1番のくじの人、今からひとっ走り行ってイチゴミルクジュースを三パック買ってこい!」 それは・・・ やちゃんあたりならともかく、私や火村がやったら、ある意味犯罪のような気がする。 私のくじ番号は3番だったので、内心ほっとしながら火村を見た。 お、 「わけのわかんねえ命令するじゃねーか。」 ご愁傷様。 げらげら笑うを無視して足早に部屋を出る火村をちゃんと二人で見送った。 「傑作! 英都大学助教授がイチゴミルクを買いにコンビニへ!! うわあー、写真とりたいい!!」 転げまわるをどうすればいいのかわからないらしいちゃんはおろおろと私を見上げた。 「こういう時はな、ほっとくんが一番や。」 「なんやて?」 笑い飽きたらしいが顔をにゅっと突き出す。私は驚いて体を後ろに引く。 それだけで満足したらしいは、今度はちゃんの正面に座る。 「ちゃんっ」 「は、はい。」 「あんな、うちの娘にならん?」 「え?」 「は?」 突然何を言い出すんだ、この女は。 は満面の笑みを崩さずに手を組んだ。 「うちな、子供は絶対にちゃんみたいなかわえー女の子、って決めてたんよ。やったらちゃんを養子にすれば、夢は叶うやん。ええやろ? うちの娘になり?」 どう返事をしたらよいのか困っているようだったので、私は助け舟を出すことにした。 「あんな、。よう考えてもみい。ちゃんが娘になると、もれなく火村英生ゆうんが義理の息子になるんやで?」 すると、逆効果だったらしく、ちゃんは顔を真っ赤にして俯いてしまった。 冗談なのだが。 「甘いなあ。ええか、よう考えてもみい、アリス。火村が息子になるんは、うちも承知しとる。それがええんやないか。」 は? 普通、あんな息子は欲しくないと思うぞ。 「だから、考えてみい。あの火村から、うちら、お義母さんお義父さん、呼ばれるんやで? あの、冷血冷徹火村から、敬われるんやで?」 ・・・・・・。 それは、確かに、 「おもろいかもしれへん。」 「な? せやろ?」 「あ、有栖川さん、さん!!」 いよいよもって顔を真っ赤にするちゃんを尻目に私たちはにやりと笑った。 ん? 待てよ。 今、は何と言った? ―――あの火村から、うちら、お義母さんお義父さん、呼ばれるんやで? 「うちら」とは、この状況でと私しかいないわけで・・・。 「な? せやから、ちゃん、うちの娘になりぃや。」 「さんっ!」 泣きそうな顔をしてに食って掛かるちゃんから顔を背ける。 だめだ。今振り向いたら、確実に顔が赤いことをからかわれる。
**数分後** 「おら、買ってきたぜ。」 「おおきに、息子よ。」 「・・・は?」 「いや、こっちの話や。」 「・・・そうか(関わりたくないらしい)。ところで、あの二人はなにしてるんだ(小声)?」 「ん? ああ、将来のこと考えて、二人して照れてるんや(早速イチゴミルクを飲む)」 「・・・・・・・・・(また変なこと吹き込んだな)。」 反省会 アリス主人公が突拍子もないのは、画家だから(ぇ |