「鴉城、遊びに」 「、出かけるからついてこい。」
晴れた日に君を連れて
今日も今日とて顔パスでJDCビル内に潜入し、何の咎めもなく総代室に乱入し、誰も阻止しないのでいつものように「遊びにつれてけ。」と叫ぼうとしたは、室内にいた人物によっていとも簡単に硬直させられた。 普段は、何があろうとも、それこそJDCビルが爆破されようとも自らの意志を貫くが、である。 たまたま総代室にいた九十九十九と天城漂馬は、珍しいの失態に苦笑を浮かべた。 「は?」 「お前が態度と性格だけでなく、耳まで悪いのか? 出かけるから準備しろ。」 初めて拝むの間抜けな表情に、漂馬はとうとう吹き出した。 「嬢ちゃん、ひでぇ顔だぞ。」 「さん、大丈夫ですか?」 漂馬とは違い、笑いを外には出さないものの、珍しい少女の動揺に十九までもが小さな美苦笑を浮かべる。 笑われた方は、声をかけた男のうち一人が天敵であることも忘れたように二人を仰いだ。 「今、鴉城、なんて言った?」 「だぁからぁ、お前をどっかにつれてくって言ってんだよ、鴉城の旦那は。」 「ご心配なく。鴉城さんの分の推理は私が今日担当しますから。ごゆっくり楽しんでいらしてください。」 ようやく言われたことを理解したのか、はまじまじと鴉城を見上げた。 「あ、鴉城、」 「なんだ?」 「ホントか?」 「本当だ。」 「ホントにホントのホントなんだな!?」 「ああ、本当に本当の本当だ。」 途端、 いつもの仏頂面が 花が開くようにほころぶ。 「・・・・・・やった。」
自分の腕にぶら下がって、満面の笑みを珍しく浮かべるを、なるべく見ないようにする。一目見たら、見惚れてしまうに違いないから。 「鴉城。」 それでも、呼びかけに答えないわけにはいかず、鴉城は軽く視線を下に向けた。 「大好きっ。」
***その頃の総代室***
「なんだ、嬢ちゃんも笑おうと思えば笑えるんじゃねえか。」 「素直に笑ったくんが可愛い、と言えばいいじゃないか、漂馬くん。」 「天城氏は照れてるんだな。」 「本当に、さんの笑顔は愛らしいですからね。」 「っつーか、城ちゃんと刃さんはなんでここにいるんだ?」
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