Bad Mad Carnival

 

 

 

 

 目を覚ましたのは、一体いつだったのか。

 真っ暗闇の中、目を閉じているのか閉じていないのか、わけのわからない状態で何日も過ごしていた。

 いや、もしかしたら、まだほんの数分しか経っていないのかもしれない。五感を消されると、正常な考えができなくなるから。

 それでもこうして冷静に考えることができるのは、今までずっと暗闇の中で生活していたからかもしれない。

 いや、暗闇ではなかったな。

 暗闇の中でも、一筋の小さな明かりがあったから、なんとか自分の周りが見えたし、なんとか動くことができた。

 けれど、その明かりももう、消えてしまった。

 運がよければ、再び会えるのだろうけれど。

 いや、たぶん会えるだろう。

 あの女が言っていた。

―――蒼司くんに会えるまで、はおねんねよ

 つまり、あたしが目を覚ましたとき、鴉城に会えるということだ。

 あの女はいけ好かない上に思わせぶりなことを言うが、嘘は吐かない。

 なら、本当に、

 

「鴉城・・・・・・?」

「第一声がそれか。ずいぶんと刷り込まれているようだな。」

 白い頭巾を被った男が現れた。服も白い。

「・・・ホワイト。」

「覚えていたか。から聞かされていたのか?」

「なにを?」

「お前が、このカーニバルにおいてそこそこ重要な役割を果たさなければならないことを。」

「聞かされている。けれど、そうやすやすとそれに従うつもりはない。」

 あのあと、もう少し会話をした気もするが、すぐに忘れてしまった。あたしが今一番気にしているのは、鴉城のことなのだから。

 それでも、鴉城の部下のことを、気にしないわけでもない。

 

 

「漂馬! 生きていたのか!?」

 乙姫たちに続いて漂馬がやってきたので、あたしはいつになく大声を上げて漂馬に抱きついた。

「嬢ちゃんじゃねえか。お前さんも生きて、あ、いや、お前、さんに、」

「あれは、だ。あたしじゃない。あたしは、鴉城が消えてすぐ、ここにつれてこられたんだ。」

 は、重要な駒だから。

 あたしは、それと同じくらい重要じゃないから。

さんも、ここの一員なのかよ。」

「そうだ。だが、ドッグでも、ドットでもない。クモでもない。彼女は、アンカラード・ボードだから。」

 アンカラード・ボード

 uncolored board

 色のないゲーム盤

 彼女の色を決めることが、この世界の行く末を決めること。

 そして、それを決めるのは

 

 

「そこで眠る男は、眠っている限りは龍宮城之介かもしれない。」

 ホワイトは、そう言う。

 そう、ブラックか、城之介か。

 彼の正体によって、今後の世界が決まる。

 の、色が決まる。

 あたしの、生死が決まる。

 

 

「私は、龍宮城之介ではない。」

 

 そしてその瞬間、全てが決まった。

 

 カーニバル最終日。それは、あたしが死ぬ日。

 








反省会
 鴉城の喋らない鴉城ドリ。一体何作目でしょうか?

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