そして俺たちは幸せになった
乱暴に髪をがしがしと拭くに文句の一つも言ってやろうと思ったものの、「次どーぞ。」と先制され、う、と終は言葉に詰まった。そのまま固まった終に片眉を上げてみせ、首根っこを掴んで「入れと言っているだろうが。」とは終を風呂に放り込んだ。 べち、という鈍い音とそれに続く叫び声を無視し、は冷蔵庫からビールを取り出した。 風呂上りにビールを飲む時点で若くないなあ、と自覚しながらも、飲まずには平静でいられなかった。 飲んだらもっと平静ではいられないような気もするが、気分が麻痺するということで。 そう自分に言い訳して、小気味いい音を立ててプルタブを空ける。 さて、これからどうするか。 別になにかの意図があって終に外泊を勧めたわけではない。卒業したとはいえ相手は未成年だし、まだなにも知らない子供である。なにかしようとかなにかされようとか。[ そこまで考えて、は溜め息と共にビールを飲み込んだ。なんだか考え方がただのオヤジである。よろしくないよろしくない。教育者として以前に、大人としてよろしくない。 「さて、。お前はなにがしたい?」 なに、がしたいのだろう。 普通の恋人のような甘い一夜? ・・・想像してみた。 すぐに想像を振り払う。 勘弁してくれ。 そんなことがしたいわけじゃない。 「あー、くそっ。」 「いらいらすると髪かきむしるの、やめなよ。」 |